利回りを理解していますか?FXの世界にはいいかげんな情報が多いので
利回りとは、投資額に対する収益の割合のことで、金融商品や資産運用、投資手法を評価するにあたり、一番大切な指標といえます。「どれだけ儲かるのか」を表すものですから、重要なのは当然ですよね。
利益率、収益率といった、似た意味の言葉もたくさんありますが、こちらの記事ではそれらの違いには触れません。
それよりも、いいかげんな方法で(あるいは悪意をもって)計算されている利回りがいかに世の中に多く、それらを鵜呑みすると危険な目に遭う可能性があることを解説していきます。
利回りのパターン① 調子が良かった期間の値動きから、必要証拠金を割り出した利回り
ほとんどデータ改ざんと同レベルの利回り計算パターンで、まったく信用できません。
ある運用がもっとも利益が出ていた短い期間を切り取り、その期間の値動きから「結果的に必要だった最低証拠金」を割り出し、それを基準にどれくらい儲かったかを利回りとして表します。
このやり方だと、勝っている時期を切り取っているので利益は最大になり、さらに証拠金(=資金)も一番安い金額として計算するため最小になるので、現実と大きく乖離した高利回りが演出できます。
完全なでまかせではありませんが、再現性ゼロの成績であり、ほとんどファンタジーの世界です。
ループイフダンなどのリピート系自動売買の成績を公開するにあたり、1か月程度の非常に短い期間を紹介している場合は要注意。またこの手法は、アフィリエイトブロガーだけではなく、証券会社も平気で使っていたりしています。
利回りのパターン② 含み損益を考慮せず、確定利益のみで計算される利回り
①よりはずっとマシなパターンで、考え方としてもよくあるものです。含み損や含み益は確定した結果ではないと解釈するのが普通だからです。
ただし、ループイフダンやトラリピ、iサイクル注文などのリピート系自動売買は、基本的に損切しないこと前提なので、含み損を抱えるのは普通の状態です。そのため、常にあるはずの含み損を無視して利回りを計算することになるため、当然ながら実際の口座状況よりはかなり良い成績になります。
リピート系自動売買の勝ちパターンは、抱えている含み損を確定した利益が上回ることですが、その状態にならなくてもプラス収支の利回りとして表現されてしまいます。
利回りのパターン③ 含み損益を考慮した利回り計算
正確な数値が出るパターンです。リピート系自動売買は、この方法でないと信憑性がありません。
リピート系自動売買の場合、3パターンの中で一番悪い成績になります。もちろんトレード12ではこの考え方で利回りや年利を計算しています。
同じ運用でパターン①~③の違いを見てみる
『全てのループイフダンを完全比較』で、もっとも成績が悪いユーロ円の売り戦略をもとに、どれだけ利回りを都合良く加工できるかを見ていきましょう。
- 通貨ペア:ユーロ円
- 売買戦略:S40(40銭刻みの売り戦略)
- 売買数量:1000通貨
- 資金:300万円
- 運用期間:2017年10月3日~11月3日
- 確定利益:13万5200円
- 含み損益:-47万8800円
こちらの基本データをもとに計算してみます。
①+②:もっとも都合が良い、最低資金&確定利益のみの計算
この期間の値動きは112.61円~134.49円で必要最低証拠金は80万円なので、投資額80万円で確定利益の13万5200円を得たとして計算。
→年利15.4%
①+③:最低資金&確定利益&含み損益も考慮して計算
必要資金80万円で、確定利益13万5200円から含み損益の47万8800円を引いた-34万3500円で計算。
→年利-39.2%
投資額300万円で②の確定利益のみで計算
投資額300万円で確定利益の13万5200円を得たとして計算。
→年利4.12%
投資額300万円で③の確定利益+含み損益で計算
投資額300万円で、確定利益13万5200円から含み損益の47万8800円を引いた-34万3500円で計算。
→年利-10.48%
まとめ
このように、まったく同じ時期の運用であっても、都合の良い部分だけを採用すれば、いくらでも都合の良いデータを作ることができます。というか、トータルで負けているはずなのに、勝っていることにすらできてしまいます。
基本的にFXのWEBメディアは、FXが優れた商品であることをアピールし、アフィリエイト報酬を得ることを目的にしているため、とにかく派手に勝っているデータを見せたがります。その結果として、嘘ではないものの、かなり都合の良いデータを並べることで、「へえ、簡単に勝てるんだ」と軽い気持ちで参入し、その結果資産を失ってしまった方はたくさんいるはず。
利回りの仕組みをよく理解し、その計算された利回りが、どのような情報を基にしているかを意識するようにしましょう。
先ほどもいいましたが、トレード12では都合の良い期間の切り取りも、含み損を無視する手法も採用していません。それがリアルな運用成績であるからです。
あきがわ・くにひと。東京都在住の兼業トレーダーで、住宅ローンを抱える二児の父。某製造業で働きつつ、FXトレードに精を出す。2013年から本格的にFXを開始。テクニカル分析主体の考え方で、スキャルピングやデイトレ、自動発注系ツールの活用、高金利通貨のスワップ運用など幅広い発想でFX投資を行ってきた。現在は、ループ・イフダンを主体に運用を行っている。夢は大きな犬とのんびり暮らすこと。
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