FXの自動売買(シストレ)リピート系連続発注の比較、まとめ

2017年6月23日

この記事では、FXで運用できる自動売買(システムトレード)にどんな種類があるのか、どういった特徴があるのかを総当たり的に解説していきます。それぞれのメリットやデメリットも解説していきますので、これから自動売買を始めようという方にはぜひ参考にしていただきたいです。

目次

1.自動売買とは?まずは定義してみる

FXのトレードは、手動で売り買いする「裁量トレード」と、機械に売買を任せる「自動売買」に大別することができます。またこのメディアでは、システムトレードも自動売買と同じ意味で扱います。

スキャルピング、デイトレード、スイングトレード、ポジショントレードといった、誰もが聞いたことがある時間軸に応じたトレードスタイルは、すべて裁量トレードです。

2.自動売買は、リピート系とプログラム系に分類できる

FXのトレードを機械に任せる自動売買ですが、大まかにリピート系プログラム系(選択型自動売買)に分けることができます。

リピート系は、このメディアでも取り上げているループイフダントラリピiサイクル注文、トラッキングトレード、トライオートFXなどが該当します。売買は自動ですが、相場の判断を投資家側が行うこと、トレードのロジックが明確なのが特徴です。

プログラム系は、主にテクニカル分析を組み合わせた特定の売買ロジックをプログラムとして動かして運用するタイプの自動売買です。トレードを完全に機械任せにできますが、売買のロジックは公開されていないことが普通です。ミラートレーダーが代表格です。

3.リピート系の特徴、メリット、デメリット

3-1.【特徴】何度も復活するイフダン注文を等間隔に敷き詰める

リピート系はトラリピが元祖で、それ以外の商品は多かれ少なかれ、トラリピの模倣をしつつ、特許コンテンツであるトラリピと裁判沙汰にならないよう、機能を制限したり、別の角度からの解釈が加えられています。よって、リピート系はトラリピが登場した時点で、ほとんど完成されているFX商品であるといえます。

トラリピとは、「一定の範囲内に何度でも復活するイフダン注文を一括で仕掛ける」商品です。

出典:http://www.m2j.co.jp/toraripi/

上のように「新規買い→決済売り」のイフダン注文は、利食いまでが終われば再設定されます。

3-2.【メリット】レンジ相場で無類の強さを発揮

このような特性から、トラリピなどの連続発注が仕掛けられている範囲での値動きが続く限りは、利益確定が何度も繰り返されます。

3-3.【メリット】売買ロジックが明確で、資金計画ができる

どういう条件でトレードをするかがやる前からハッキリしていることが連続発注の特徴です。やる前から「相場がここまで動けば、これくらいのポジションを持つので、どれくらいの含み損になる」という部分が分かっているので、勝因も敗因も設定次第ということになります。プログラム型自動売買のようなブラックボックス感はありません。

3-4.【デメリット】トレンドと逆行すると大きな含み損に

レンジ相場に強い反面、戦略の逆を行くトレンド相場は苦手です。買いの戦略を採用している場合、相場が下落すると買いポジションの含み損が膨らんでいきます。

関連して、リピート系の注文は利益確定のみを設定したイフダン注文なので、損切りを前提にしておらず、どのような展開になっても多かれ少なかれ含み損を抱えることになります。裁量トレード風にいえば、利小損大になります。

なお、マネックス証券オートレールは、こういった含み損を抱えがちなリピート系と一線を画す存在で、トレール注文を用いた損切りを多くする、損小利大をコンセプトとしています。

4.主なリピート系を比較してみる

商品名 提供会社 特徴
トラリピ マネースクエア 連続発注の始祖。操作性が良く、設定の自由度も高いが、取引コストが莫大。情報ツールが充実していて、FX初心者向け
ループイフダン アイネット証券ひまわり証券 超シンプルで分かりやすいが、自由度も低い。取引コストはかなり安い。通貨ペア数が少ない
iサイクル注文、トラッキングトレード 外為オンライン、FXブロードネット、ライブスター証券 トラリピループイフダンの中間の性質。取引コストはそこそこ。通貨ペア数が多い
連続予約注文 マネーパートナーズ 使い方によってはもっとも安いコストで連続発注を実現できる。約定力も抜群
トライオートFX インヴァスト証券 様々な売買のパターンを自作できるカスタマイズ性の高さがウリ。カスタマイズには知識が必要だが、誰でも使えるプリセットも充実している
オートレール マネックス証券 損切りしながら強いトレンドを待つ、異色のリピート系。勝率は低くなるものの、大きなトレンドで一気に稼ぐコンセプト

トラリピ:高コストさえ受け入れられればベストな選択肢に

出典:http://www.m2j.co.jp/

リピート系の元祖である、トラリピ(トラップリピートイフダン)のメリットとデメリットを解説していきます。

トラリピのメリット

  • 自由度が非常に高い
  • ツールが使いやすい
  • セミナーや情報が多い
  • スマホアプリも使いやすい

トラリピの設定はパソコン版の場合、会員限定サイトで行いますが、この会員サイトは非常に使いやすいです。注文の発注はウィザード形式で質問に答えていけばすぐに完了します。

また会員サイト内には、トラリピプロモデルのような質が高い情報が多くあり、トラリピ資産運用表のような他の商品を運用する際にも参考になるツールがあります。会場セミナーが日本中で開催されているなど、投資家教育へも非常に力を入れています。

つまり、FX初心者向けの口座といえます。

トラリピのデメリット

「取引コストが高い」…唯一にして最大のデメリットです。また、イベント時のスプレッド拡大もかなりのものです。逆にいえば、こういった取引コストの高さを受け入れられるなら、トラリピは非常に魅力的な選択肢となります。

ループイフダン:超シンプル&低コストで人気の連続発注

出典:https://inet-sec.co.jp/systrd/system/new_loop/

ここ数年でユーザーを一気に増やしているリピート系です。トレード12でも2016年はメインの運用商品でした。

ループイフダンのメリット

  • あらかじめ決まっている設定から選ぶだけでシンプル
  • スプレッドが狭い
  • 約定力が高い

通貨ペアごとに決められてる値幅から選ぶだけで、すぐに運用開始できる分かりやすさが魅力です。また、2019年1月の時点で、マネパnanoを除く連続発注の中で、手数料は最安です。さらに、約定力はかなり高く、イベント時のスプレッド拡大も限定的です。

ループイフダンのデメリット

  • 設定の自由度が低い
  • 強制的な損切り機能がある

設定のシンプルさは、自由度の低さにもつながります。通貨ペアごとに、3~4種類の値幅が設定されており、それ以外の設定の運用はできません。

また、2016年のアップデートで、実質的な損切り機能である、最大ポジション数の設定が追加されてしまいました。

iサイクル注文=トラッキングトレード:損切り機能がついたトラリピという位置付け

出典:https://www.gaitameonline.com/icycle/

外為オンラインiサイクル注文が有名ですが、ライブスター証券でも同じツールを使うことができます。また、FXブロードネット(FXトレーディングシステムズ)のトラッキングトレードも実質的に同じ商品です。

iサイクル注文=トラッキングトレードのメリット

  • 取扱い通貨ペア数が多い
  • 取引コストは標準的
  • 約定力が高い

トラリピループイフダンと同じようなことをできる商品ですが、その2つの商品と比べて通貨ペア数は多いです。

取引コストはトラリピよりは安いですが、ループイフダンよりは高いという位置付けです。約定力はかなり高く、イベント時のスプレッド拡大も限定的です。

iサイクル注文=トラッキングトレードのデメリット

  • 強制的に損切りさせられる
  • 曖昧な設定でも取引開始できてしまう

ループイフダンとも共通しますが、実質的な強制執行の損切り機能があります。レンジ幅を保ちながら、トレンドを追うコンセプトのため、売買方向と相場が逆行すれば、損切りが発動します。

また、良くも悪くも適当に項目を選択するだけで、よく分からない状態で運用スタートできてしまいます。

連続予約注文:手間はかかるものの、取引コストは最安

出典:https://www.moneypartners.co.jp/

マネーパートナーズの裁量口座には、パートナーズFXとパートナーズFXnanoという2種類の口座がありますが、nano口座がスプレッドが狭く、約定も強力なのでオススメです。

100通貨単位で注文を入れられるため、少し利益が貯まれば複利運用としてポジション増ができます。またグルトレのような、大量の注文を入れなければいけない運用を、少額資金で始めることができます。

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連続予約注文のメリット

  • 裁量口座と同水準の超低スプレッド
  • 約定がきわめて強力でイベント時でもスプレッド拡大なし
  • スワップも良い

2019年春時点でコストは最強です。優れた裁量口座に自動売買の機能を追加したイメージですね。

連続予約注文のデメリット

  • 指値でしか注文を入れられない
  • 20回しかリピートしない
  • すべての注文を手動で設定しないといけない

低コストで運用できるかわりに、制限もいくつかあります。まず、今より高い価格での買い、今より安い価格での売り、つまり逆指値になる注文は入れられません。

トライオートFX:カスタマイズ性抜群だが複雑でやや難しい

出典:https://www.invast.jp/triauto/service/summary/fee.html

インヴァスト証券トライオートFXも、トラリピ型のリピート系連続発注商品ですが、設定の豊富さが売り。売買のルールを組み合わせることで、かなり複雑な売買のパターンを自動化できます。

トライオートFXのメリット

  • 様々な売買パターンを登録できる
  • プリセットが多数用意されている
  • 超大口なら手数料が安い

いろいろなパターンの売買を自動化できるのが魅力です。

また、連続発注では現実的でないかもしれませんが、10万通貨、50万通貨の取引なら、手数料はかなり安いです。

トライオートFXのデメリット

  • とにかく複雑
  • 用語が独特で分かりにくい

自由度が高い分、操作も難しいです。そういった点を解消するため、インヴァスト証券ではあらかじめ登録された売買パターンのプリセットを公開、さらに収益もランキング表示して、選ぶだけで売買出来るような仕組みが公開されています。

オートレール:損小利大をコンセプトにした最新の連続発注

出典:https://info.monex.co.jp/news/2017/20170113_02.html

トレール注文を等間隔に配置する連続発注です。

オートレールのメリット

  • トレンドを追いかけて利益を伸ばす
  • 含み損を抱え続けない

トレール注文の特性通り、トレンドが伸びた分だけ利食い幅がひろがります。またトレール注文は可変する逆指値注文ですので、設定値で必ず損切りが入ります。

オートレールのデメリット

  • 勝率が低く、連敗しやすい

はっきりしたトレンドが出なければ、損切りが連続し、低い勝率にとどまります。

5.プログラム系(選択型自動売買)の特徴、メリット、デメリット

【特徴】ある売買ルールを自動実行するもの

プログラム型の自動売買は、「相場の状況を判断し、エントリーをし、利食いor決済する」という一連のトレードを自動実行するようにプログラミングしたものです。こういった一連の売買の判断は、主に移動平均線やボリンジャーバンド、RSIなどのテクニカル分析を用いて行われます。

【メリット】放置でき、損切りも行われる

一連のトレードがパッケージになっているため、投資家がすることはロットサイズを決めて稼働するだけ。連続発注と比べてより放置度が高いです。

また売買ルールの中に必ず利食いも損切りも含まれているため、含み損を抱え続けることはありません。

種類が豊富なのもこのタイプの良さでしょう。世界中のプログラマーがロジックを考案し、自動売買に落とし込んでいます。こういったもののなかから、実際に成績の良いものだけが投資家の手元に届くような環境がFX業界では実現されています。たくさんのプログラムの中から売買ロジックを選択することになるため、選択型自動売買とも呼ばれます。

【デメリット】売買ロジックは非公開で、長期運用はできない

一連のトレードがどういうロジックに基づいて行われるかは、開発者にとっては企業秘密にあたる部分で、トレーダーがそれを知ることはできません。そのため、なぜ勝ったのか、なぜ負けたのかの答えが出ることはありません。

また、特定のテクニカルに依存した売買ロジックであるため、どうしても相場に対する相性の問題が発生します。一つだけのプログラムが何年も勝ち続けることはなく、必ず休ませる、新規プログラムを発掘するといったマネージメントが必要になります。

6.主なプログラム型の自動売買

ミラートレーダー

イスラエルのトレーデンシー社が運営している、自動売買のプラットフォームです。日本で提供されているプログラム型自動売買では最大規模で、非常に多くの自動売買ロジックが提供されており、投資家は好きなもので資産運用することができます。

シストレ24インヴァスト証券

出典:https://www.invast.jp/st24mr/

国内最大の選択型自動売買で、ベースはミラートレーダーですが、インヴァスト証券でしか使えないオリジナルのプログラムも多数公開されています。

インターフェイスに優れ、プログラムの発掘や好不調の見極めが直感的に行えます。また、2016年より、プログラムの入れ替えを自動化したフルオートというサービスも始まり、選択型自動売買では国内他社を一歩リードしているといえます。

MT4のEAを用いた自動売買

有名なFXプラットフォームであるMT4でも自動売買ができます。EA(ExpertAdviser)と呼ばれるプログラムを使えば、すぐに自動売買を始めることができます。無料のものも含め、たくさんのEAが流通しているため選択肢は多いでしょう。

MT4はローカル(投資家のパソコン)で稼働するため、パソコンの電源をオフしているときは動かないという欠点があります。この欠点は、VPSという仮想サーバ上でMT4を動かすことで解決しますが、VPSの利用には月額料金が発生します。

MT4の口座のスプレッドなど取引コストは、ミラートレーダーや連続リピート系各サービス(連続予約注文除く)と比べて安いため、大口での取引、長期での取引なら、こちらの方がコストが安くなるケースも多々あります。

まとめ

リピート系とプログラム系は、同じ自動売買でありながら、商品としては別であると認識した方が良いでしょう。

設定の賞味期限という意味では、リピート系の方がプログラム系より長いといわれています。プログラム系の自動売買で、同じ設定で年単位での放置は事実上不可能ですが(相場のパターンが変化するため)、リピート系の自動売買なら、豪ドル円のような長期的に見てレンジ相場の通貨ペア+余裕のある資金管理で、数年の放置運用も可能となります。

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