ループイフダンで年利100%?正気ですか?無責任すぎます
以前書いた『FXで年利12%ってwwwwと笑う人に読んで欲しい記事』に続く記事です。FXの世界では不自然なハイリターンを無責任に煽る質が低いメディアが本当に多いです。身の丈に合わない高利回りを求めるリスクについて解説していきます。
非常に危険な情報を発信しているサイトが上位表示されている現実
他のメディアでは、ループイフダンの年利、利回りについてどう解説しているのかと思い、「ループイフダン 利回り」というキーワードで検索してみました。表示された一番上、いわゆる検索1位のサイトを見たところ、とんでもないことが書いてあり驚愕しました。
「ループイフダンにおいては、相場の方向性さえ間違わなければ、100%という利回りを達成することはとても簡単なことだ」
「年利100%はまったく難しくない。売買の方向さえ正しければ、大きな収益が期待でき、1年間で元手を数倍に増やすことが、特に苦労することなく可能である」
検索開始してからたった15秒でここまでの衝撃を受けるとは…。このサイトは「ループイフダン」で検索しても上位に来る人気サイトなので、見たことがある方も多いはず。
これは非常にまずいです。年利12%を目標に掲げる私たちにとって、看過できない内容です。
2016年の相場はやや変動幅が狭かった
「年利100%」とは、1年間運用すれば資産が100%増える=資産が2倍になるという意味です。本当に年利100%が簡単なのかどうかを、2016年の豪ドル/円ループイフダン買い80銭(B80)の実運用(4月4日~12月25日)をベースに検証していきましょう。
検証を始める前に、この8か月間の値動きは、過去と比べてどうだったのかを確認しておきます。2016年の春以降の豪ドル/円は、4月4日の85円台半ばから始まり、6月24日のブレグジットで72円台をつけ、11月の米国大統領選で87円台まで上昇しています。トレンドが出ていて一方向を目指していたわけではなく、いわゆる「いってこい」のFX相場で、連続発注をするには理想的な展開でした。
過去20年間(1995~2015年)の豪ドル/円の年間平均変動幅は18.34円。それに対して2016年は高値が87.85円、安値が72.15円なので、変動幅は15.7円。ここだけを見れば、動きの少ない1年だったといえます。
6月のブレグジット、11月の大統領選と2回の急変動がありましたが、1日で5~10円程度動く相場は1年間で1~2回あるのが普通なので、想定内といえます。
実際の運用で得られた結果をもとにシミュレート
『ループイフダン 豪ドル/円 B80(買い80銭)の運用報告』で毎週レポートしていますが、300万円の資金で4月4日からスタートして、12月25日時点で資産は3,248,765円になっています。これを年利計算すると、11.38%となります。
この数値を根拠として、高利回りを狙った場合に実際に口座はどうなったのかをシミュレーションしていきます。なお、このシミュレーションでは、2016年4月~12月の8か月間で得た損益を、12か月分の利益として年利計算の基準としています。
年利100%を狙った場合→2ヵ月後に強制ロスカット
4月から12月の運用で約25万円増えているので、年利100%(年間で資産が倍)を得るためには、資金も25万円でスタートしなければいけません。この設定でループイフダンの豪ドル/円 買い80銭を4月4日からスタートしたとすると、強制ロスカットになる金額は約78円。これだと、ブレグジットにすらたどりつけず、6月16日に強制ロスカットになります。論外ですよね。
年利50%を狙った場合→ブレグジットを乗り切れず強制ロスカット
続いて年利50%を狙う場合ですが、資金50万円での運用となります。この場合の強制ロスカット水準は約76円で、ブレグジットの大変動となった6月24日を乗り切れずにロスカットになります。4月4日~6月24日までにおよそ10万円の確定利益がありますが、これを足してもやはりブレグジットを乗り切ることはできません。
年利30%を狙った場合→首の皮一枚でブレグジットを生き残る
最後に年利30%を狙う場合には、75万円の資金でスタートになります。この資金の強制ロスカットラインは73円ですが、6月24日までに確定した約10万円を足した75万円の強制ロスカットラインは約72円。ブレグジット時の安値がこの価格帯なので、生き残ったとしても本当にギリギリの薄氷を踏むような思いをすることになります。
そんな展開では当然ものすごいストレスを感じることになりますし、恐怖のあまり早めにロスカットをしてしまい、結果として利益が減ってしまう可能性も十分あります。つまり、安心感のある資産運用からはほど遠い状態です。少なくとも、「一度設定したらあとは放置で年利30%」なんて、間違っても言ってはいけません。
まとめ
例年よりも変動率が低い2016年の相場も、年利30%を狙うことですら非常に危険な運用となります。
さらに、人気の狭い値幅(豪ドル/円ならBやSの20)で運用すれば、同じ取引枚数でも利益は広い値幅の運用にかないませんので、累積される利益が少なく、さらにロスカットに遭う危険度は上がります。
私の感覚では、リスクと取ったとしても20%が限界。30%以上はギャンブルトレードだと思います。100%なんて危険すぎて、話になりません。やはり、年利12%くらいが、バランスが取れており、現実的な利益目標であると再認識できました。
「年利100%なんて簡単」って書いているメディアは正気なんでしょうか。明らかにこれからFXを始めるトレーダーにとって、有害な情報なのでは?
Googleの検索エンジンは、「質の高いコンテンツ」を優先して上位表示していますが、内容の誠実さまでは判定できないみたいですね。
あきがわ・くにひと。東京都在住の兼業トレーダーで、住宅ローンを抱える二児の父。某製造業で働きつつ、FXトレードに精を出す。2013年から本格的にFXを開始。テクニカル分析主体の考え方で、スキャルピングやデイトレ、自動発注系ツールの活用、高金利通貨のスワップ運用など幅広い発想でFX投資を行ってきた。現在は、ループ・イフダンを主体に運用を行っている。夢は大きな犬とのんびり暮らすこと。
ディスカッション
コメント一覧